◆新型インフルエンザ

 

 4月の末に中米メキシコに発症し、わずかな期間でフェーズ5まで拡大した新型インフルエンザ(豚型インフルエンザ)は、世界を震撼させました。日本でも神戸では流行し、現在(5月末)でも300人以上の人に感染が確認されているようです。
 新型インフルエンザについては、以前から高病原性鳥インフルエンザの変異によって生じるものが懸念されていました(参照)。すなわち鳥から人への感染で到死率60%にもなる鳥インフルエンザが人から人に変異して世界中に広がったら、多くの人が重篤な健康被害を受けることが予測されていました。だからそれを想定して様々な行動計画(感染拡大を防止するための施策)が練られていました。今回も当初はそれにあわせて対応したので、制限がきびしかったため様々な社会的混乱が生じ、経済や就業、教育に影響がでたようです。また広報の語調も強かったので、マスクの購入不能といった社会不安を表すような現象もおきました。
 しかし新型インフルエンザについては、過去100年の歴史を振り返ってみてもH5N1が新型に変異したことはありませんでした。したがって、もしかしたらH5N1は変異しにくいので次の新型はむしろH1N1またはH3N2ではないかと考えていた研究者も少なくなかったようです。確かに今回の新型インフルエンザは弱毒性で、季節性のインフルエンザと同等の症状とされています。また夏場を迎え、終息傾向をあるようです。しかし今回のインフルエンザは必ず今年の秋、来年には拡大するでしょう。また周知のようにインフルエンザは変異し、その性質を変えることがあります。ですから今回のインフルエンザが強い毒性をもつような性質を潜在的にもっている可能性は否定できないのです(政府広報参照)。
 我々が認識しなければならないことは、現在は強いものだけが生き残ればいいという社会ではありません。文明の進んだ人間の社会は貧富老若が共存して健康な生活をしなければならないのです。過剰な情報に煽られていて、不安行動を起こすのはいつも健康で強い人たちです。むしろ物がまだわからない小さな子ども、体を痛めている老人のために感染を拡大しない方策を冷静に考えていくべきと思います。