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昨年(2009年)4月に中米で発症した豚型インフルエンザ(後に新型インフルエンザ)は全世界に広がり、その約一ヶ月後には日本に上陸しました。日本での発病当初は神戸を中心とした関西地方の学校の状況や、海外での就学旅行した学校などが、個人情報の公開や人権の觝触になりかねない報道がされました。確かにメキシコで新型インフルエンザがした発症時は、死亡者が結構でていましたし、以前から高病原性鳥インフルエンザの変異による新型インフルエンザを想定していました。ですから我々一般人は全世界的に広がり、かなりの確率で重症化することを大変恐れていましたし、報道もそれを煽ったところがあったと思います。
10月になって日本での流行が本格化しますと、インフルエンザそのものの生命に対する危機感より保育園や学校、職場における社会的影響が大きくなりました。すなわち我々の社会は様々な理由により社会的活動を止めなければならないとしても、それを最小限にしないと生活が成り立たたなくなってしまっていたのです。たぶん昔のように社会が単純で質素だった時代、情報も簡単に手にはいらなかった時代には、人々は迷うことはなかったし、がまんをしざろうえなかったのだと思います。それで不幸な転帰をたどったしても、それはそれでしょうがなかったと容認されたことだったのでしょう。
しかし現在の社会は複雑で、それを構成している個人も多様です。またよくも悪くも情報が種々錯綜しています。そうしたとき我々はどうしたらいいのか立ち止まってよく考えてみる必要があります。
12月下旬にはいるとインフルエンザの流行が急に消退していきました。なぜ急に消退してきたのか。おそらくインフルエンザの罹患者がある程度まで達したこと、またそれと11月からはじめたワクチン接種もあいまって、集団での免疫獲得率が、爆発的流行を維持できない臨界点以上になってしまったことが考えられます。
我々は今回の流行をとおしてたくさんのことを学びました。また今後のためにもういちどきちんと検証しなければならないことも多いと思います。「水際作戦」「咳エチケット」、「衛生管理」、「マスク」、「インフルエンザ濃厚接触者への予防与薬」、「予防接種優先順位」など様々な言葉が行き交い、その中には必要以上に不安がらがらせたり、混乱させたり、今後の検証より意味が疑問とされるものもあるかもしれません。しかし国民は総じて冷静に対応できたと思います。私もきちんと説明すればわかってもらえる患者さまに恵まれたこともあり、今のところ大きな事故なくで診療できてきたことに感謝しております。
私にとって最も大切だと思ったことは、感染症が汎流行した時に一人の医師、一つの医療機関では無力であることです。今回の一人一人の医師の適切な診療や、予防に関する啓蒙、ワクチンの接種の積み重ねによって、最小限の流行について被害を最小限に抑えることができたのだと思います。また患者様側についても多くは己れのことだけでなく、自分の周囲の人ことにも気を遣ったり、夜間や時間外の医療機関の人員的施設機能的な状況のことなど社会的なことも配をしてくれた慮した受診をしてくれたことに、大変ありがたく感じております。
今後も別なの流行があったとしても、罹患した人罹患していない人、医療を施す側も施される側もお互いの立場や状況を思いやりよりよい方向を考えて対応することが大切なこととなると思います。 |