診療方針

 

◆ 子どもに対する医療行為について ◆

 

 

 

患者様は、なぜ病院を訪れるのか

 

我々は、患者様が病院に何を目的に訪れるのかを考えます。そして患者様が病院を出る時、何に満足し何に不満を感じるのかを考えます。最後に患者様が次に訪れるとき何に期待をしているのかを考えます。
 患者様が病院に来る最大の目的は、身体の不調やそれによる精神的不安があり、その原因とそれを軽減、消失してくれる方策を病院が提示してくれることを期待しているからだと思います。訪れてくれた患者様にこれらのことについて、最高の回答を提供することが病院の使命です。不完全な回答であれば、患者様を失望させるでしょうし、納得いくものであれば、患者様に安心感をあたえ、信頼関係を結ぶことができると思います。
 確かに接遇、病院の環境、待ち時間なども大切です。しかし一番大切なことは、目が不調な原因、熱が下がらない原因、咳が止まらない原因を明らかにし、それらに対してきちんとした説明と適切な対応をすることが専門医としての義務です。
 椅子が座りやすい。音楽が心地よい。雑誌が新しい。絵本がおもしろい。これらは患者様に待っている時間を快適にするのに重要です。しかし、その後の診断が納得行くものでなかったり、提示された治療がその後の病状に快方を導くものでなければ、患者様がつぎにその病院を訪れることはないと考えます。
 この病院であれば、どのような時間でもどのような状況でも何とかしてくれるかもしれないと、患者様に期待していただけることが、病院にとって最高の誇りです。そのために日々ひとりひとりの患者様への診療の精度を上げ、診療の成果を示すことが、患者様との信頼関係につながると考え努力いたします。

 

医療行為における同意の必要性

 

患者様が体の不調があり病院を訪れたとき、我々は患者様の話をよく聞き、体や器官を診察し、検査することで適切な治療を開始しなければなりません。その治療で患者様の愁訴が速やかに軽快しますことを願っております。しかし検査の過程においては、不自由や苦痛を伴うことがあります。目の検査においては、目の痛みがあったり、一時的に焦点があわなくなったり、まぶしかったりするでしょう。レントゲンや心電図のときは動くことを制限されます。病原体の検査のためには、ぬぐい液をとるために無理やりのどをあけさせられることがあります。採血のときに針をさされることは、大人でも痛くて辛いことです。鼓膜が耳垢で見えなければ、それを除去して正確な鼓膜の状態を評価することが必要です。鼻腔や喉頭にファイバーを入れられるのは不快なものです。しかしそれらをさせていただくことによって、正確な診断をできれば、きっと患者様を安心させ、最終的には体の不調が解決するための治療につながると考えるたとき、己の経験により積み重ねられた技術を信じて慎重におこないます。適切な治療に結びつかないのであれば、これらは単なる拷問にすぎません。ですから医療行為を施す前にその内容と目的について十分な説明をし、同意をえるべきと考えます。

子どもに対する医療行為について

 

意思判断の責任を負わせることができない患者様への医療行為の場合
具体的に申し上げますと、ご高齢の方と子どもです。弘前市の高齢者のインフルエンザの予防接種においては本人の同意がなければ接種できないと記されております。子どもの定期の予防接種においては保護者(親権者)の同意と立会いがなければ接種できないのです。これは任意の予防接種やすべての医療行為においても同様であるべきだと考えます。
 すなわちお子様に検査や治療を施す前に、保護者にそれらの医療行為の必要性、内容、目的を十分理解していただくこと、そしてその行為を監視していただくことが大切と考えます。医療機関によっては注射や点滴などの子どもに疼痛をともなう医療行為を行なう場合、保護者を隔離して子どもと医療従事者だけでおこなうところがあります。確かに自分の子どもが痛い思いをしているところをみることはご両親にとって忍びないことと思います。でも病院によってはそれだけの理由ではないことがありえるのです。失敗しているところをみられたくない。プレッシャーがかかる。物をいえない子どもであれば、失敗しても後々まで非難されることはないだろう。そういう可能性もあるかもしれないのです。しかし保護者には自分の子どもがどのようなことをされているのか見る権利がありますし、医療側は保護者にすべてを見せる義務あると考えます。
 むしろ私たちはお子様に医療行為を施す際に、保護者にそばで立ち会っていただき、お子様を勇気づけていただきたいと思います。お子様も痛くて辛い医療行為を受ける際、お母さんに抱っこされていたいと絶対に思っています。またご両親に付き添われることでお子様が安心してスムーズに医療行為が受けられることは、私たちにとっても大変助かることなのです。私たちも努力しても時としてうまくいかない場合があります。でもそれも洗いざらいすべて見ていただく事は、最終的には真摯な姿勢として評価いただけるものと信じております。
 すなわち子どもの人権擁護の立場から、当院ではお子様のすべての医療行為の際、ご両親をお子様から離すことを決していたしません。私たちと一緒に関わって、お子様の病状がすこしでも早く改善しますようご協力をお願いしております。

 

[参照]あらいこどもクリニック こども診療宣言