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予防接種の改正について |
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| 平成17年4月からBCGの、平成18年4月から麻疹・風疹ワクチンの定期予防接種実施に関する法改正により変更がありました。さらに平成18年6月に麻疹・風疹の二期について移行処置に関すして修正省令が出され、現場はまだ落ち着いていません。今後も定期の予防接種についてはその国の衛生状態・経済状態・伝染病の状況等により今後も改正されると思います。定期の予防接種の一般的なことについては、http://arai-clinic.com/yobousessyu.pdfのとおりですが、個々について細かいところで疑問点は多いと思います。そこで任意の予防接種も含めて様々な疑問点についてQアンドA形式にまとめましたので参考にしてください。 |
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| Q1.定期の予防接種の目的は何でしょうか? |
A1.定期の予防接種とは、国がその時代の感染症の状況に基づいて、予防接種法および結核予防法による定期の予防接種実施要綱を発令し、市町村長がおこなうことと定められています。そして市町村長から委託された医療機関が実務的業務をおこなうことになっています。定期の予防接種は以下の条件が重要です。\x{fffd}@発症することがありえること。\x{fffd}A発症した場合、病状が重篤であり、救命したとしてもその後大きな後遺症を残すことがあること。\x{fffd}B流行した場合、本人は症状が軽くても胎児に大きな影響を及ぼす可能性があること。\x{fffd}C接種によりあるいは接種を工夫することにより、免疫を高い確率で得られること。\x{fffd}D接種による健康被害は極めて低いこと。\x{fffd}E予防接種のコストと発病した場合の医療費用を社会全体として考えて経済的であること。 予防接種の意義を考えるとき、留意しなければならないのは、予防接種が個人の健康を守るためだけではないことです。予防接種を多くの人が接種することにより、社会全体の免疫を確保し、免疫を与えることがむずかしい個人(たとえばましんに関して言えば乳児)を守ることも重要なのです。ですから予防接種を受ける側は接種前に個々の予防接種の目的をよく理解していただく必要があります。また疑問があれば明確な回答をすることを医療側は義務付けられています。 |
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| Q2.麻疹ワクチンを1歳未満の乳児に任意で接種することは必要でしょうか? |
| A2.確かに世界の一部の地域においては9ヶ月で麻疹の予防接種をしているところがあります。それは爆発的に麻疹が流行していて、乳児死亡の大きな原因になっている地域で、欧米などの先進国ではおこなっていません。乳児の麻疹ワクチンの接種は、個人によってはある程度免疫効果はあると思われます。しかし効果が何ヶ月からどの程度あり、その効果がその後も維持されるのかといったデータがないのです。したがって、集団としては社会的免疫を向上させることはできず、麻疹を撲滅させること(elimination)にはつながらないということで見解は一致しております。厚生労働省でも麻疹の定期の予防接種の時期を一歳以上とし、それ以下の年齢時の接種は任意としています。任意の場合、予防接種による健康被害(痙攣、アナフィラキシーシャックなど)が生じたときの公的保障がありません。したがって当院としては一歳以下の乳児に、麻疹流行していない状況下で単に集団保育をしているからという理由だけで、有効性や安全性が確定していない麻疹の予防接種を任意ですることは、慎重な配慮と同意が必要と考えます。 |
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| Q3.麻疹流行時に集団保育の乳児に任意で接種する際、麻疹風疹の混合ワクチンがよいのでしょうか。 |
| A3.その地区で麻疹が流行していて集団保育をしている場合、麻疹ワクチンを乳児に接種することは問題ありません。しかし接種前に副反応が生じた場合に公的救済補償がないことや、ワクチンの効果やその持続については未確定であることの十分な説明が必要です。そしてその接種は麻疹単独ワクチンにすべきです。日本ではまだ乳児に対する国産の混合ワクチンの有効性や安全性のデータがないからです。また麻疹の流行という時期と地域に限定して施行するのであれば、風疹を含める意味はありません。 |
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| Q4.3歳の子ですが、BCGを接種し損なってしまいました。任意で接種した方がよいのでしょうか? |
| A4.BCGについては小児の重症結核(粟粒結核、髄膜炎)に対して80%と極めて高い予防効果あります。しかし肺結核については報告により異なり、結論が出ていないのが現状と思います。むしろ結核暴露をうけている成人集団においては有意差ない報告もあります。しかし、これらは欧米の統計による報告です。つい50年前までは国民病とさえ言われた結核が、これほどまで罹患率を低下させられたことに、BCGが果たした役割を否定することはできません。こうした背景から厚生労働省は2005年4月のBCG接種体制の改正時、その直前の3ヶ月間に4歳未満のBCG未接種者に対して大急ぎでツ反、BCGを施行するようにと省令を発しました。おそらくこの3ヶ月の間に国はBCGを乳幼児のどこかでやっておくように配慮しましたという姿勢だけはしめしたかったのでしょう。いずれにしろ、2005年4月時点で1歳以上で5歳未満の子たちの多くはBCGをどうにか済ませているわけですから、未接種の子は少数派のわけです。もし国が「1歳以上の子の結核に対するBCGの効果はないですよ。」と断言できたのであれば、1歳以上4歳未満の子への救済対策はしなかったはずです。BCGの接種率が低い年齢層を作ってしまうことで、数十年後における結核罹患率においてその年齢層がわずかでも高くなってしまったとき、国の責任を回避するためではないだろうかと勘ぐってしまいます。以前厚生省の方に「定期の接種年齢をすぎてしまった子へ、任意でBCGを勧めた方がよいのですか。」聞いたことがあります。BCGについては厚生省としては結核予防効果があると考えているので、一回は受けるよう指導している姿勢であるとのこと。すなわち国としてもBCGはいらないよと言えない立場なのです。3歳の子であれば、従前定期BCGの接種年齢である4歳未満に相当します。数十年の経過をみて、現行のBCG制度の子どもたちが大人になったとき結核罹患率に有意差がなければ、乳児期以降のBCGについては効果がないと証明できるのかもしれません。それまでは、医療側としては子どものうちに一回はやっておくことを勧奨しざろうえないのです。 |
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| Q5.6ヶ月を過ぎてしまった子の任意でBCGを接種する際に、従前のようにツベルクリン反応はすべきなのでしょうか? |
A5.もし接種者の家族や生活環境を聞いたとき、結核罹患や既往の方がいなければ、ツベルクリン反応は必要なく直接BCG接種法でよいのではないかと考えます。そして万が一コッホ現象が出現した場合にツベルクリン反応も含めた精査をすればよいと思います。コッホ現象とは、結核が罹患しているあるいは既往がある人にBCGを接種した場合、管針痕が2〜3日以内に強く発赤、腫脹、びらんを形成するアレルギー反応です。それは2週間程度で軽快し、生命を脅かすような全身症状はありません。したがってBCG接種を目的にきた健康な子が、結核が伝染するような環境ではないことが確認とれれば、ツベルクリン反応の目的はコッホ現象で果たせると思います。 話は別になりますが、最近クォンティフェロンという結核の罹患を判定する測定系が開発されました。これは結核に対するリンパ球の反応を調べる検査ですが、小児におけてはデータの蓄積が不十分で判定基準が確立されていないのが現状です。 |
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| Q6.2歳未満のインフルエンザの予防接種は本当に有効なのでしょうか? |
A6.インフルエンザの対策については、インフルエンザの迅速診断キットや特効薬が利用されるようになりましたが、一番は予防接種です。しかし子どもの予防接種については老人ほどその有効性を確証できるデータはありません。一歳以下についてはまず効果はないというのが、多くの研究者の一致した見解で、二歳以下でも有意な発病予防の効果を認めないとする報告もあります(Lancet
2005;365;773-80)。しかし二歳以上ではある程度効果はあるとされています。したがって二歳以上のお子様で保育園に行っているのであれば、接種すべきと考えます。 一歳から二歳のお子様については、その子を取り巻く状況次第と思います。ただ言えるのは、麻疹と風疹の予防接種をしていない場合は、そちらを優先してください。なぜならインフルエンザの予防接種は一歳台では、2回接種しても有効率は30%に満たないのです。それに対し、麻疹や風疹の予防接種は90%以上なのです。また予防接種による副反応による健康被害が生じたときの補償の上限が定期の予防接種は大きいのです。したがってまず麻疹と風疹をきちんと済ませて、時間的余裕があり保育園等の集団生活をなさっているのであれば、受けるべきと考えます。但しインフルエンザの予防接種に限らず、任意の予防接種については、その効果が不確定であることや副反応、健康被害が生じたときの対応の問題がありますので、低年齢であれば普段からかかりつけていて、信頼関係ができている小児科医が接種するべきと思います。 |
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| Q7.新型インフルエンザに対する対策はどうなっているのでしょうか? |
| A7.新型インフルエンザについては、本ホームページに簡単に説明してますし、日本医師会でもパンフレットhttp://www.hirosaki.aomori.med.or.jp/kannsenn/h17/new_influenzaq&a.pdfを作成し、流行時の対応について啓蒙しております。昨年度から全世界的な流行に対応するために、各国政府主導で国家単位のタミフルの貯蔵がされております。また本年7月には英医薬品大手グラクソ・スミスクラインが、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の人間向けワクチン開発の臨床実験で、有望な結果が得られたと発表しました。同社は年内にも商業ベースの生産を開始したいとしているとのことで、新型インフルエンザが発症してもその流行拡大(パンデミック)を阻止できるものと期待されているところです。 |
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| Q8.「おたふく」や「みずぼうそう」は予防接種をした方がよいのでしょうか。 |
A8.健常な子どもにとって、「おたふく」や「みずぼうそう」は概ね軽症です。これらの罹患によって、生命にかかわる状況や後遺症を残すことはほとんどありません。しかしこれらは学校伝染病によって登校停止期間が定められている伝染病ですので、ご両親のお仕事等で子どもを家でみれない家庭では予防すべきと思います。 しかし理由はそれだけではありません。罹患した本人がたいしたことなくても、集団の中で伝染された人が重大な症状がでることがあります。たとえば希ですが、「おたふく」による難聴は回復することはありません。水痘は大人には重症な病気です。現在小児科学会や耳鼻科学会はおたふくによる難聴の発症頻度を調査することにより、ワクチンを定期の接種とするための意見書を厚生労働省に提出すべきか検討している段階です。 水痘については、ほとんどの人が幼少期に自然罹患しており、現在の成人の99%は水痘の免疫を持っているとされています。しかしこの状況が将来もそうであることの確証はありません。すなわち少子化により同胞が少ないこと、集団保育や学校教育が少人数の細かい単位でおこなわれていること、水痘の予防接種により不均一な社会的免疫状況であることから、今後幼少期に水痘の流行に遭遇することなく成長していく子どもが増えていく可能性があります。そうすると社会を構成する個々としては水痘に対して全く免疫がない人や予防接種のみの弱い免疫の人が混在している状態になります。水痘がその中で流行した場合、幼少期に予防接種を受けた大人は軽症でも伝染媒介者となり流行を広めます。そして水痘免疫がない大人に伝染すると、その人は重症になります。大人の水痘感受性者が将来増加することが懸念されており、そうした人を減少させるためには全体的な水痘免疫保持率の底上げを図る必要があるとされています。そのために、水痘ワクチンを幼少期に定期として接種して、ある程度の水痘免疫を社会全体として均一に保持させることを検討すべきなのかもしれません。 |
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| Q9.日本脳炎の予防接種は受けたほうがよいのでしょうか? |
A9.厚生省は、平成17年5月から「日本脳炎はやらなくていいですよ!」とはいっていません。積極的勧奨の停止という、現場ではどう患者に説明していいのか迷わせる省令がでた時から、厚生省の結論を待っていたのですが、すでに一年以上たちワクチン定期接種年齢の90ヶ月がすぎてしまう子がでてきています。当初安全性が高いワクチンとしてVetro細胞株のワクチンの実用化を考えていたようですが、近年中に可能な状況ではないようです。そして日本脳炎は、国内での発症は少ないものの、東南アジアでは爆発的に流行している地域があり、そこからの伝播の可能性は今後もありえます。また日本国内でのコガタアカエイカからは日本脳炎がウィルスが分離され、ブタの抗体価が高い状況より国内での流行再燃の可能性があることを厚生省は重々承知しており、ADEMの騒ぎがあった現行のワクチンでも国としては責任をもって「もうやらなくてもよいよ。」とも言えないのでしょう。結局主治医からこの予防接種の有効性と副反応に関する十分な説明を聞いたうえで保護者に判断していただき、同意書を書いて接種することになっています。 先日の毎日新聞【2006年9月7日】
「日本脳炎:感染の危険性高まる 県が予防対策呼びかけ /三重県は6日、感染症流行予測調査の結果、県内で日本脳炎感染の危険性が高まっているとして、予防対策をとるよう呼びかけを始めた。呼びかけは今年初めて。県健康危機管理室によると、調査は毎年7-9月に毎週1回実施。豚10頭を採血検査し、5頭以上から日本脳炎の抗体が検出され、うち1頭でも1-2週間以内に感染したことが分かった場合、注意喚起の情報を提供している。4日の調査で、6頭から抗体が検出され、うち3頭は最近、感染したことが分かった。日本脳炎は、コガタアカイエカを媒介して人に感染する可能性があり、同室は「残暑期間中は注意が必要。蚊に刺されないようにしてほしい」と話している。」
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| Q10.「インフルエンザ桿菌」や「肺炎球菌ワクチン」の有用性についてはどうでしょうか。 |
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