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| 1.まずはじめに |
| 最近,マスコミ等でも「新型インフルエンザ」やあるいは「高病原性鳥インフルエンザ」と記された記事を多く見ます。しかしその報道の中には両者が混同されているように思います。そこでまず,「新型インフルエンザ」について説明します。 |
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| 2.新型インフルエンザとは: |
| 現在,ヒトーヒト間で流行しているインフルエンザウイルスはA香港型(H3N2),Aソ連型(H1N1),B型の3種類ですが、A型の2種類のウイルスは,抗原性の小さな変化(連続変異といいます)を続けながら人類の間で流行を続けています。ただ,数十年単位でこのヒトーヒト間で流行するA型インフルエンザウイルスの中にはこれまでと全く別の亜型にとって代わることがあります。これを大変異(または不連続変異)といいます。具体的にいいますと,1918年に,全く新しいタイプのインフルエンザウイルス(スペイン型,H1N1)が出現し,世界的な流行となりました。このインフルエンザが原因で1918~1919年の2年間で2000~5000万人が死亡したといわれています。またそのために第二次世界大戦が終焉したとさえ言われています。その後もH1N1型の流行は続いていましたが,39年後の1957年にアジア型(H2N2)に変わりました。11年後の1968年に香港型(H3N2)が出現し,次いで1977年にソ連型(H1N1)が現れ,この2つの型の流行が現在も続いています。すなわち,20世紀には4回の新型インフルエンザが人類の前に現れました。その当時これらの新型インフルエンザに免疫があるヒトは殆どいませんから,その度に世界的に大きな流行となりました。そしてウイルスの毒性にもよりますので,常にスペイン型の様ではありませんが,たくさんの重症者と死亡者が出ています。現在は最後にソ連型(H1N1)が現れてから既に25年以上経過しています。これまでの座史的経緯をみても,新型インフルエンザがいつ出現しても不思議ではないのです。 |
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| 3.それでは高病原性鳥インフルエンザとは: |
A型のインフルエンザウイルスは,ヒトを含む哺乳類や鳥類に広く分布しています。しかし本来の宿主(これを自然宿主といいます)は水きん(水鳥のことです)類,特にカモ類であると考えられています。A型インフルエンザの中で,鳥類の間で感染して広がっているものを「鳥インフルエンザ」と呼んでいます。そしてこのうち感染した鳥が全身症状を呈して大量に死亡するというように,鳥に対して強い病原性を示すものを,「高病原性鳥インフルエンザ」といいます。家きん類(肉や卵などを利用する目的や愛がん用に飼育されている鳥類)の中のニワトリ,うずら,七面鳥などは感染しやすいといわれています。 以上からわかるように,新型インフルエンザはヒトの間で流行するインフルエンザであり,高病原性鳥インフルエンザはトリの間で流行しているものですから,同じものではありません。では,なぜ今これほど高病原性鳥インフルエンザが注目されているのかといいますと,特に高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスの場合,ベトナム,タイ,カンボジアなどの東南アジア各国において,確率は低いと考えられるものの,しばしばヒトヘの感染が起こり,死亡者も出ているからです(WHO統計2003年12月26日~2005年6月28日までの確定症例数108,死亡者数54)。中には非常に限定的ではありますが,ヒトからヒトヘの感染を考えざるを得ない例もあります。今年の11月末に生じた中国の兄弟の例が疑われています。そして今後,この高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスがヒトヘの感染をくり返していくうちに,ヒトーヒト間で容易に感染する能力を獲得し,人類の前に新たに現れる「新型インフルエンザ」となる可能性が危倶されているのです。 これまで日本国内で高病原性鳥インフルエンザが発生した場合,感染しているニワトリを含んだ全ての家きんを処分してきました。また,その養鶏場を中心に決められた範囲内の養鶏場のニワトリなどの家きんを移動制限し,監視下におくとともに,インフルエンザウイルスを持っていないか検査をくり返します。このような厳重な処置を行う理由は,一つには高病原性鳥インフルエンザウイルスのこれ以上の感染の拡大を防止し,他のニワトリを中心とした家きんを守るためです。さらにもう一つは,高病原性鳥インフルエンザウイルスの家きんへの感染の拡大を防止することによって,感染したトリとヒトとの接触の機会を減らし,ヒトヘ感染する能力をウィルスに獲得させる可能性をできる限りなくすこと,そしてそれによって新型インフルエンザが発生することを防止するためでもあります。 |
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| 4.現在懸念されていること: |
| これまで高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスの家きんでの集団感染が認められた中国や東南アジア各国は,通常の農家でニワトリを飼育しており,ヒトとニワトリが密接に生活をしています。また,闘鶏が非常に盛んなところもあります。このような地域において,住民の財産であるニワトリを一斉に処分することは非常に困難です。事実,現在感染拡大の防止に成功しているとはいえませんし,ヒトヘの感染の報告も続いています。H5N1ウイルスを中心とした高病原性インフルエンザについては今後も注目していく必要があります。 |
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