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◆ one airway, one disease ◆

 

 

 

1.one airway one diseaseとは
我々生物は食べたもの燃やすことにより、生きるためのエネルギーを獲得しています。燃やすためには空気の中の酸素が必要です。この酸素は呼吸をすることにより体の中にとりこまれます。空気を出し入れされる道をair way(気道)といいます。すなわち気道とは空気の通り道のことで、鼻、のど、気管、肺の他、それらと連結している副鼻腔、鼓室(中耳腔)への空気の通り道も一括した呼称です。ところで空気の中には、ウィルスや細菌、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)が含まれており、これらが気道粘膜に付着し炎症を引き起こします。one air way,one diseaseとは、空気を通る道の粘膜の炎症によって生じる症状(咽頭痛、鼻水、鼻閉、咳嗽、耳閉塞感、耳痛)に対して、総合的に診療する考え方です。このような診療の仕方によって、気道粘膜の感染症(鼻炎、咽頭炎、中耳炎、気管支炎、肺炎)やアレルギー疾患、慢性炎症性疾患(アレルギー性鼻炎、喘息、、副鼻腔炎、浸出性中耳炎)を個別に診断治療するのではなく、総合的に診察します。それによって今後生じる症状を予想しながら先回りして症状の進展を回避することができます。特に病状が増悪しやすい小さな子どもにおいて有効とされています。

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2.気道感染症の原因
小児科領域の子どもの気道に感染する病原体については、80%はウィルス性といわれています。最初から細菌が原因のことは比較的まれです。ですから小児の気道感染症において、病初期から抗生剤を使わなければならないケースは少ないと言えます。しかしウィルス感染によって、気道の入り口(特に鼻腔粘膜)の状態が不良になると細菌による二次感染がおこります。例外として、始めから鼻の症状が乏しく乾いた咳が強い場合、集団の流行の状況によっては、マイコプラズマ感染のことがあります。

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3.各年齢・季節による気道に感染するウィルスの特徴
子どもの気道に感染するウィルス感染症は、年齢や季節によって特徴があります。まず大きくわけて症状や診察所見が咽頭や口腔粘膜に限局するものと、鼻粘膜や気管支粘膜に波及するものとがあります。前者の場合は、発症時の熱は著しいのですが、短期間のであることが多いようです。しかし時としてウィルス性の髄膜炎を合併することがあります。ヘルペス属のウィルスやアデノウィルス、特発性発疹の他、夏に流行するヘルパンギーナや手足口病のエコーウィルスなどが原因となります。後者の場合は、春先や晩秋に流行することが多いウィルスです。これらは鼻や気管の粘膜に感染し、その場所の炎症を遷延させることに特徴があります。ライノウィルス、コロナウィルス、RSウィルス、メタニューモウィルスなどがあります。これらのウィルスでははじめはそれほど熱はないのですが、鼻閉や咳そう、喘鳴が強くなり、細菌感染症を合併し肺炎や中耳炎に進展します。

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4.気道粘膜炎症の遷延進展様式
普段から健康で体力がある人の気道粘膜にウィルス感染が罹患しても、粘膜は剥離した後にすぐに新しい粘膜が再生しきれいな繊毛上皮に覆われます。したがって症状は軽度で日常生活に支障をきたすことが多少あってもそれは短期間です。しかし免疫力が低下していたり未発達であったり、栄養状態が不良の人が感染症を繰り返すと粘膜が深く広範囲に荒廃します。そうすると繊毛がはがれた粘膜上皮が広く長い間続きます。そうするとその場所に細菌が増殖します。そして細菌からの毒素により粘膜上皮がさらに荒らされ、細菌は粘膜下に浸潤します。このような細菌による二次感染が生じると、病状が悪化遷延します。特に小さい子ほど、気道に関連する器官(中耳、結膜、副鼻腔)の独立性が乏しいため、細菌感染が広がり、中耳炎や肺炎に進行する傾向が強いとされています。

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5.各気道における病原菌
健康な人の上気道(鼻腔、咽頭)には、表皮ブドウ球菌や連鎖球菌などが粘膜を覆っています。これらは常在菌と呼ばれ、そこの粘膜においては毒性がない菌です。そしてこれらは、毒性がある菌(病原菌)やかび(真菌)が粘膜で増殖することを防いでくれています。しかし炎症により粘膜の状態が荒れてくるとこれらの常在菌よりも、病原菌のほうが増殖しやすいような環境になります。そうすると病原菌が粘膜を覆い、その毒素により粘膜がさらに荒廃します。そして病原菌は上気道の奥の器官(副鼻腔、中耳腔)に浸潤し、副鼻腔炎や中耳炎となり、病状は遷延化します。また下気道に進展すれば、気管支炎、肺炎となります。気道の各部位で病原菌の種類を検索してみると比較的共通しています。すなわちもともとは鼻腔や咽頭の粘膜に生着した病原菌が、固体の健康状態の不良が続くと、中耳や下気道に広がっていくものと推測されます。すなわち気道感染症の遷延化や重症化を回避するためには、のどや鼻のレベルで炎症を長引かせたり増悪させないような治療の工夫が必要なのです。

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6.気道感染症の治療のポイント
二次感染症が生じた場合、粘膜を健康な状態に回復させるのには、炎症の原因となっている病原菌を減少させることが必要です。それには抗生物質が有効です。しかし必要以上の使用はかえって病気を複雑なものにします。抗生物質は病原菌ばかりだけではなく、常在菌にも影響を与えるからです。常在菌も減少すると粘膜にそれ以外の微生物が生着、増殖するスペースを与えます。抗生剤が効かない菌(耐性菌)が付着するとそれだけが増殖し、その後の抗生物質の選択が困難になります。かび(真菌)が生着することもあります。したがって、病原菌が咽頭や鼻腔、中耳腔に多少いるのがわかっていても、症状が軽度で局所所見も軽微であると診断した場合、抗生物質を使うのをとどまって慎重に様子をみることがあります。食欲や睡眠、活動性など全身状態がよければ、抗生物質を使わなくても免疫力による自然治癒の可能性があります。その場合、鼻を吸引し病原菌を物理的に減らすこと、保護者に説明して食事や安静が保てるように指導すること(保育園に行っている子は病児保育室を利用)、吸入をして粘膜を潤わせること(吸入器の貸出し)によって、まず自然治癒をはかります。

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